研究者の声

生命情報工学研究センターの各研究者が実際の研究活動や、
センターで働く理由など生の声をご紹介します。

ポール・ホートン 配列解析チーム 研究チーム長
ポール・ホートン
米国ワシントン州出身 昭和41年生まれ
UCバークレイ大学 生物物理学研究科修了
マーティン・フリス 配列解析チーム
マーティン・フリス
イギリス・ロンドン出身 1975(昭和50)年生まれ
米ボストン大学 生命情報研究科卒
マイケル・グロミハ 分子機能計算チーム 主任研究員
マイケル・グロミハ
インド・タミルナドゥー州出身 1967(昭和42)年生まれ
バラディタサン大学 生物物理学研究科卒
  さまざまな国、複数機関での研究を経て、
        CBRCを選びました。
−まず、CBRCに参加されるまでの経緯について教えて下さい。

フリス:  アメリカのボストン大を卒業後、「哺乳類のゲノム配列」を研究テーマに選んだ私は、やや変わったポスドク生活を送りました。テーマに沿った研究をするために、1年の半分をオーストラリアのブリスベン大、もう半分を日本の理化学研究所(理研)で過ごす……という研究生活です。ブリスベン大では研究のアイディアや手法などを研究員相互で議論する理論面を主に学び、理研では膨大なデータを利用した解析手法を学ぶことができました。環境の異なる複数機関での生活を送れたのは、とてもラッキーでしたね。ポスドク後も、日本の研究機関に所属することを決め、今年4月にCBRCへ参加。現在に至ります。

グロミハ:  フリスさんと同様、私も複数の国/機関での研究者生活を送ってきました。母国インドで生物物理学の修士号を取得した後、「タンパク質の構造と安定性」を研究テーマに選び、イタリアのICGEB、日本の理研で研究を行いました。1997年から2002年まで過ごした理研での研究者生活を経て、2002年からCBRCに参加しています。

   自由な研究ができること、が、
        CBRCを選んだ最大の理由です。
−多くの研究機関を見てきたお二人が、
 CBRCを選んだ理由を教えて下さい。

グロミハ:  大きく分けて理由は三つあります。一つは、現在のテーマである「膜タンパク質の配列構造解析」の研究を行う上で必要な環境が整っていることです。充実した施設/設備に加え、多彩な研究者と連携して研究を行えます。二つ目の理由は、研究を進める上での自由度の高さです。CBRCでは、自分の興味あるテーマに沿った研究を自由に選べます。研究の進め方に対する柔軟度も高く、思った通りの研究ができるという点は魅力でした。三つ目は、長期的な研究を展開できることです。もちろんある程度の期限はありますが、すぐに結果を出すことを求められるのではなく、じっくりと研究テーマに取り組めます。

フリス:  私も同様の考えから、CBRCを選びました。実はポスドクを終えた後、別の研究機関に所属することが半ば決まりかかっていました。それを振って(笑)、CBRCを選んだわけです。研究環境や継続性という意味では、もう一方の研究機関とCBRCの条件は大きく変わらないものでした。しかし、周囲の研究者から話を聞いたり、いろいろ調べていくうちに、CBRCの「自由度の高さ」がとても魅力的なものと感じられるようになったのです。自由度、そして柔軟性。それがCBRCを選んだ最大の理由です。

   言葉の問題はあるけれど、
       CBRCでの研究にはメリットが多い
−CBRCで研究活動を行うことのメリットは、
 どんなところに感じられますか。

フリス:  先ほど挙げた「自由度の高さ」は、参加してからも強く感じます。また、参加している研究者の数が多いことや、研究されているテーマの範囲が広いことも、CBRCのメリットだと思っています。研究者各自が、それぞれのテーマに集中しながら、情報を交換して役立てていく。多彩な情報が行き交うことで、個々の研究の成果や精度が上がります。

グロミハ:  日本の研究機関全般に言えることですが、研究に必要なインフラが整っていることが挙げられます。母国インドなどでの研究は、議論を中心としたものでした。CBRCの場合、多くのデータを収集・解析できるインフラが整備されており、研究の効率アップにつながっています。

フリス:  もちろん、日本での研究生活には、難しい面もあります。特に言葉の問題ですね。各種の研究情報が日本語のみで発表される場合、「英語に翻訳してから入手」という手間がかかることもあります。ただ、CBRCでは研究者のほとんどが英語でコミュニケーションできますし、重要な研究情報は即時に英語に翻訳されて届きますので、あまり言葉の壁は感じないですみます。こうしたコミュニケーション面での障壁が低いのも、CBRCで研究することのメリットといえるでしょうね。

    優れた研究者であれば、
              出身は問いません。
−CBRCで研究をしたい、という方は世界中に多いと思います。
 どんな方に来て頂きたいですか。

フリス: 日本という国に住みたい、日本で研究したいという方に、CBRCは大きなチャンスを与えてくれます。場所、施設、設備……いずれも、素晴らしい。さらに、研究の自由度や柔軟性も高く、自分の決めたテーマに集中した研究を行えるでしょう。将来性のある若い研究者も数多く集い、それぞれが連携することで、研究の成果も上がります。

グロミハ: 地震の多さを除けば(笑)、日本は安全な国です。生活もしやすく、研究に集中できる環境を手に入れられます。そんな日本にある研究機関の中でも、CBRCは生命情報工学に関する最大の研究機関です。生物学、化学、物理学、数学などのバックグランドを持つ方々が集まって幅広い研究が行われています。私が所属するチームについて言えば、特に化学のバックグランドを持つ研究者に来て頂きたいと思っています。もちろん、海外の方でも日本の方でも歓迎します。

フリス: そうですね。私のチームには、数理に強い方に来て頂けると嬉しいですね。

ホートン: お二人のような方を迎えることができ、CBRCに参加している研究者としては非常に嬉しく思っています。研究者としても、人間としても素晴らしい方を迎えられたことで、CBRC全体における研究の質も向上したと思うからです。お二人のような海外出身の方だけでなく、CBRCでは優れた研究者を求めています。日本人、外国人を問わず、ご自分の“得意技”を持つ、優れた研究者が多数集う場。CBRCは、そういう場所になることを目指しています。

※掲載内容は2007年9月のインタビュー時点のものです。
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